カナダでは留学だけではなく、学んだことを活かして職業体験(インターンシップ)を行うことができます。「カナダで、英語環境でインターンシップをするなんて難しい」と思う人も多いですよね。そこで、今回はカナダでインターンシップをする方法や、経験できる仕事などについて紹介します。これを読めば、カナダでインターンシップをする魅力や具体的な内容を知ることができます。
目次
日本のインターンシップとカナダのインターンシップの違い
日本とカナダのインターンシップの最も異なる点は『インターンシップの目的』です。日本は優秀な学生を事前に囲い込むことが目的ですが、カナダの場合は学生が学んだことを実践し、企業の一戦力となることが目的です。では、その具体的な違いを見ていきましょう。
コンセプト
日本 | カナダ |
---|---|
主に会社説明やセミナーなどがメインで行われるいわば会社説明会 | 会社の戦力の一員として現場に出て一定期間働く |
インターンシップ用の特別プログラムを主に人事課の元で行う | 仕事内容は誰もができる雑用のこともあるが、アピール力次第では正社員と同じような仕事を任されることもある |
インターンシップを行う時期や期間
日本 | カナダ |
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時期は大学3年生の夏~冬 | 特に決まった時期はなく、大学卒業後や転職目的など年齢に関係なく行う |
1日から1週間程度の短期間がほとんど | 1週間から6か月まで企業によって様々 |
探し方
日本 | カナダ |
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就活サイトや学内のインフォメーションなどを利用する | 家族・知人・学校などのコネクションを利用し、紹介してもらう |
インターンシップをする理由
日本
- 自分に向いている仕事や職種を見極める
- 入社してからの仕事のイメージをつける
- 志望動機をより具体的なものにする
カナダ
①自分に向いている仕事や職種を見極める
インターンシップの第一の目的は日本と同じで、職種や働きたい会社が本当に自分に合っているかどうかを見極めることです。異なる点はカナダには日本のような新卒一括採用のシステムがありません。そのため、新卒かどうかということよりもすぐに現場で働ける即戦力を求めています。そのため、学生は自分を企業にアピールするチャンスとしてインターンシップを活用します。
②職務経歴として履歴書に記載する
カナダには新卒一括採用がない分、職務経歴が採用時に注目されます。そのため、今まで職務経験がない新卒者の場合、インターンシップを職務経歴として履歴書に加えることができます。
③コネクションづくり
カナダは様々な場面で人とのコネクションが大きく影響します。特に仕事に関するコネクションは、その後の就職活動を左右するものになります。インターンシップで出会った人から仕事上のアドバイスをもらったり、そのまま正社員採用が決まったりとコネクションをつくることはインターンシップをする上でも、その後の人生にとっても大きな意味を持ちます。
カナダでインターンシップをする2つの方法
まず、カナダのインターンシップには2つの種類があります。
有給インターンシップ
有給インターンシップとは給料が発生するインターンシップです。有給インターンシップの多くがホテルやリゾート地などで、住み込みで働くスタイルであることが一般的です。ちなみに、バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州ではCo-opプログラム内で行うインターンシップは有給であることが定められています。
無給インターンシップ
無給インターンシップとは給料が出ないインターンシップです。給料は出ませんが、自分の興味のある職種で働ける可能性があります。日本での経験がある職種である場合やSEなどの技術職の場合はより実践的な仕事をすることも可能です。無給インターンシップで働きを認められてそのまま正社員になるパターンもあります。
では、具体的にどのようにインターンシップをするのでしょうか。実は、カナダのインターンシップは自分で自由に仕事を選んで申し込むことができません。多くの企業が決まった学校と提携しており、そこからインターンシップに来る学生を受け入れるというシステムになっています。
なので、インターンシップを行っているカレッジや専門学校などで該当するプログラム(Co-opプログラムなど)を受講するか、留学エージェントなどが提供している学校の授業とインターンシップがセットになったパッケージプランに申し込むなどする必要があります。
カナダのインターンシップが可能な3つのビザ
カナダでインターンシップをするためには給料の有無に関わらず、就労が認められているビザが必要になります。
①ワーキングホリデービザ
ワーキングホリデーは若者(18~30歳)がカナダでビザの期間である一年間、カナダでの生活を経験するために就労できるビザです。ワーキングホリデービザは6か月以内の就学が認められているので、英語を学びながら働くことができます。
②Co-opプログラム
Co-opプログラムは就労ビザとは少し異なります。Co-opプログラムでは、在学期間中にインターンシップを行うことができます。Co-opプログラムを提供しているカレッジや大学で学ぶための学生ビザと、インターンシップを行うために必要な就労ビザを学生ビザに付属して取得する形になります。Co-opプログラムでは、インターンシップの割合が学習期間の50%を超えてはいけないとされています。
ワーキングホリデービザとインターンシップの違い
「ワーキングホリデービザ」と「インターンシップ」はどちらもカナダで働けるという点から同じに捉えられがちですが、実はそれぞれの目的を見てみると違いが分かります。
ワーキングホリデービザ | インターンシップ |
---|---|
カナダに滞在するために必要なビザ | ビザで滞在中に参加できるプログラム |
③学生ビザ
学生ビザの場合、カレッジや大学がある期間は週20時間、学校がない夏休みなどの長期休みの期間はフルタイムで働くことができます。ただし、これは語学学校に通う学生の場合は当てはまらないので注意が必要です。UBCやSFUなどカナダの大学では在学中にフルタイムで行えるインターンシップもあります。
カナダのインターンシップで経験できる仕事や求められる英語力
インターンシップで経験できる仕事
- 接客業(カフェやレストランなど)
- ホスピタリティー関連(ホテルやリゾート地など)
- 一般企業(日系・カナダ系問わずオフィスワーク)
- 教育現場(日本人学校や語学学校などのスタッフ)
求められる英語力
求められる英語力は職種によって差があります。ホテルスタッフや清掃員など英語に自信がない人でもできるものもあります。ただし、そういった仕事の場合イメージしているインターンシップというよりも単なるアルバイトという働き方になるでしょう。
中級以上の英語力があれば、オフィスワークなどのより幅広い選択肢の中から自分の力を発揮できる可能性を見つけることができます。たとえインターンシップであっても英語力とその企業に役立つポテンシャルがある人は正社員同等の働きを任されることもあるでしょう。
語学学校では、英語学習とインターンシップをパッケージ化したプランも用意されています。
カナダでインターンシップをする3つのメリット
①リアルなカナダの企業事情や働き方が知れる
カナダでインターンシップをするメリットの一つ目は、カナダの働き方や企業のリアルを知れることです。学校とインターンシップ提携をしている企業の中には、自分で仕事探しをしている中では見つけられないような魅力的な企業や面白いことを行っているインターンシップ先があります。インターンシップだからこそ見られる仕事内容や日本との違いを経験できるのもメリットです。
②カナダで就職するチャンスがある
無給・有給にかかわらず、インターンシップからそのまま正社員採用になれる可能性があります。インターンシップでは同僚や上司、お客さんなど様々な人とのつながりを持てます。そのつながりがきっかけとなり、インターンシップ先だけに限らず別の場所で正社員として働けるチャンスもあります。特にカナダの永住権や移住を目指している人にとって正社員として採用され就労ビザを取得できるのは大きなステップになります。
③自分で考え行動しアピールする力を身に付けられる
カナダのインターンシップでは即戦力を求めているので、仕事を一から丁寧に教えてもらえる機会はあまりありません。もちろん、質問をすれば答えてもらえますが、それぞれが自分で考え行動することが日本以上に強く求められます。場所によっては雑用ばかりやるインターンシップもありますが、自分の力を効果的にアピールできれば、インターンであっても活躍できます。そういったスキルを身に付けられるのもカナダのインターンシップの特徴です。
カナダでインターンシップをするのにおすすめの学校とプログラム
Gastown Business College(ガスタウンビジネスカレッジ)
ガスタウンビジネスカレッジはカナダでも珍しいインターンシップの専門学校です。インターンシップの前に英語研修を行い、ビジネスシーンで必要となる英語を経験豊富な講師陣から学びます。インターン先は主にホスピタリティー関連の職種が充実しているのもポイントです。
Insist(インシスト)コース:インターンシップ24週(実習5週間)
基礎トレーニング授業を受講し、ビジネス基礎知識やインターンシップで必要なスキルを学びます。その後5週間のインターンシップを行えるビジネスインターンシップの最短コースです。短期集中コースです。
IBM/iHMコース(ビジネス/ホスピタリティーマネジメントコース):インターンシップ36週間(実習8週間)
基礎トレーニング授業受講後、自分の好きなコースを選択し、よりステップアップした知識やスキルを学びます。その後関連する職業でインターンシップを行うことになります。iBM(ビジネスマネジメント)とiHM(国際ホスピタリティマネジメント)のコースがあり、修了後はサティフィケイトが取得できます。
George Brown College(ジョージブラウンカレッジ)
ジョージブラウンカレッジはトロントにキャンパスを構える公立カレッジです。この学校はCo-opプログラムに力を入れており、就職後に即戦力となる学生を育てることを重視しています。シェフコース(調理師)コースやECE(幼児教育コース)といったユニークなものからビジネスや金融系のコースまで幅広いプログラムを展開しています。
ビジネスプログラム
ジョージブラウンカレッジには、卒業後の市場で求められるスキルを学べる28のビジネスプログラムがあります。会計や経理のコースや国際貿易専門資格(FITT)が取得できるコースなど様々です。また、専攻するプログラムに関連した職場で4か月以上のフルタイムの就労体験が義務付けられています。
ESL for Businessプログラム
世界各国から留学生を受け入れていることから、本コースの入学条件の英語力に達していない学生に向けてESLコースを展開しています。カレッジと同じキャンパス内で英語を基礎から学べます。レベル6を修了して本科ビジネスコースの受講ができます。
UBC(ブリティッシュコロンビア大学)
UBCは約64,000人もの学生が在籍し、カナダ国内でトップ3にランクインする名門大学です。世界約160か国から約17,000人もの留学生がおり、北米で最も国際的な大学と言われています。卒業生にはノーベル賞受賞者や、現カナダの総理大臣のトルドー首相など著名人もいます。
Work experience
在学中にフルタイムの有給インターンシップを行うことができます。インターンシップ先にはアマゾンやグーグル、マイクロソフトといった一流企業もあります。
Co-opプログラム
専攻しているコースごとに様々なCo-opプログラムが提供されています。詳細は公式のホームページから確認できます。
カナダインターンシップにかかる費用と稼げる金額の目安
カナダでインターンシップをするのにかかる費用
カナダでインターンシップをするためには、インターンシップを行っているカレッジや専門学校など教育機関に通うか、語学学校とインターンシップをセットで行う留学エージェントのパッケージプランなどに登録する必要があります。そのため、それにかかる手数料がかかり、学校に通う期間もある程度あるので、授業料も安くはありません。また、そのインターンシップが有給か無給かによってもかかる費用は異なります。今回紹介する費用はあくまで目安で、渡航期間や様々な要因で異なります。
Gastown Business College(ガスタウンビジネスカレッジ)の場合
Insist(インシスト)コース | iBM/iHMコース | |
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期間 | 6か月 | 9か月 |
授業料 | 7,100カナダドル(約56万円) | 9,900カナダドル(約78万円) |
入学金 | 200カナダドル(約1.6万円) | 200カナダドル(約1.6万円) |
一般的に一年間で約100~250万円程度かかると言われています。
カナダのインターンシップで稼げる金額
有給インターンシップで稼げる金額は職種や働く環境などによって差があります。最低賃金分は収入として得られるでしょう。カナダの最低賃金は州ごとに決められており、11~15カナダドル(約865~1,200円)となっています。
州ごとで最低賃金の引き上げがこまめに行われているので、最新の金額を確認してください。最低賃金以下で働かすことはインターンシップであろうと違法です。契約時に提示された金額が滞在している州の最低賃金より低い場合は契約には同意しないようにしましょう。
接客業でのインターンシップでサーバーとして働く場合、お客さんからのチップを得ることもできます。また、ホテルスタッフとして住み込みで働く場合は家賃や生活費などを節約することも可能です。サーバーやホテルスタッフといったチップをもらえる職種は稼ぎやすいといえます。
職種別収入例
全てフルタイムで働いた場合の目安です。
職種 | 月給 |
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飲食店サーバー | 約25~35万円 |
ホテルスタッフ | 約25~30万円 |
オフィスワーク | 約25万円 |
デイケア(保育士) | 約22万円 |
今回紹介した金額はあくまでも目安で、滞在する州の最低賃金や雇用状態、勤務日数などによって大きく異なります。
まとめ
カナダでインターンシップをすることは、多くの挑戦があり日本とやり方も違うので不安ですよね。しかし、日本とカナダの働き方の違いを知り、より世界を見据えて広い視野を持って働けるようになるのにカナダでのインターンシップは役立ちます。また、移民国家のカナダの学校ならではの留学生に対する丁寧なインターンシップのサポートもあります。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。