最近「ホスピタリティ」という言葉を耳にすることが増えましたが、どんな意味かわからないという人は多いのではないでしょうか。ホスピタリティとは簡単に言うと「おもてなしの心」「思いやり」といった意味で、主にサービスの現場で使われます。
世界で通用するおもてなし「ホスピタリティ」を実践するためには、様々な知識や経験が必要です。カナダには、まさに世界に通用するホスピタリティを学べる学校が多くあります。
今回はそんなカナダのホスピタリティ留学の魅力やメリットを紹介します。
目次
ホスピタリティ留学とは?
最近耳にすることの多い「ホスピタリティ」。日本語では「おもてなしの精神」や「思いやり」を意味する言葉ですが、世界のホスピタリティとはどのようなものなのでしょうか。ホスピタリティ留学では、世界のホスピタリティの知識やスキルを学ぶことができます。
ホスピタリティといっても、ハウスキーパーやレストランのサーバーといったサービス業に限らず、タイムマネジメントや営業、イベント運営やレストラン経営など多岐に渡ります。世界に通用し、就職に役立つスキルを身に付けることで、帰国後はホテル業界や観光業界などさまざまなフィールドで活躍できる可能性があります。
ホスピタリティ系の仕事
- ホテル業界…コンシェルジュ・ハウスキーパー・営業促進・ブライダル関係
- 飲食業界…レストラン(シェフ・サーバーなど)・商品開発・販売促進・マネジメント
- 観光業界…旅行代理店・エアライン関係・鉄道交通関係・ツアー会社など
- 娯楽関係…アミューズメントパーク・美術館・映画館など
上に挙げたように、ホスピタリティ系の仕事は一般的に「カスタマーサービス」を提供する仕事全般をいいます。カスタマーサービスの現場で必要となる人事・会計・法律といったさまざまなスキルや専門知識を学ぶのがホスピタリティ留学です。
該当のコースがあるキャリアカレッジではCo-opプログラムやインターンシップなどを行っているところもあり、勉強したことを現場で活かせるプログラムが提供されています。
カナダでホスピタリティを学ぶ3つのメリット
①多民族文化でさまざまな人種や文化の人がいる
カナダは移民の受け入れに寛大なことで有名です。さまざまな民族や人種が共に社会をつくってきた歴史的背景があるので、日本では出会えない世界中の人に出会えるチャンスがあります。さまざまな学習や人との出会いを通して文化の違いや多様性への理解を深めることにつながります。
そういった多民族国家カナダでのホスピタリティ留学を通して、文化や宗教の違いといった多様性を理解するきっかけを掴むことができます。
②観光都市で、ホテルや観光スポットがたくさんある
カナダにはナイアガラの滝やバンクーバーオリンピックの舞台になったウィスラーなど数多くの観光スポットがあります。春夏秋冬問わず美しい自然が広がるカナダには世界中からたくさんの観光客が集まります。その時に欠かせないのが観光地やホテルで働くホスピタリティ業の人たちです。
カナダの最大産業は観光業で、バンクーバーやトロントといった大都市には日本でも有名なヒルトンホテルやシェラトンホテルといった名門ホテルがひしめき合っています。
ホテルのレセプションやハウスキーパー、観光地の案内に欠かせない旅行代理店のスタッフなどカナダにはホスピタリティを学べて、それを活かして働ける環境が充実しています。
②カナダのホスピタリティ業界で働く方法がたくさんある
観光業が盛んなカナダのホスピタリティ業界では、常に働き手を募集しています。そのため、ワーキングホリデーで来た人の中には、観光地で住み込みのホテルスタッフや観光案内係などで働いている人もいます。世界中の人たちと共同生活をし、ホテルやレストランといったサービス業で一緒に働く経験はカナダのワーキングホリデーならではの魅力です。
また、ホスピタリティを学び、その知識を現場で活かすためにCo-opプログラムを活用する人もいます。
また、カナダのホスピタリティコースのある学校には、国際的に認知度の高いAH&LA(American Hotel & Lodging Association)の資格が取得できるところもあります。この資格はカナダだけではなく、日本を含む世界で認められているので帰国後のキャリアアップにもつなげることが可能です。
ホスピタリティ留学のプログラム内容と費用
概要
まず「ホスピタリティとは何か」という基本的なところから、カナダをメインに世界的な視点でホスピタリティの根本を学びます。レストランやホテルサービス、観光業といったホスピタリティ業界に関する論理を学び、実際に現場での実習を行うことで知識を活用します。
「カスタマーサービスとは?」「おもてなしの心とは?」といったサービスに携わるプロフェッショナルとしての心構えを学びます。
授業内容
授業内容は学校や選択したコースによって異なりますが、多くの学校で「ホスピタリティ」とそれに付属する「ツーリズム」や「カスタマーサービス」がセットになっているコースを提供しており、よりフィールドを絞って学びを深めることができます。学ぶ内容としては以下のようなものが挙げられます。
- ホテルや娯楽施設のフロントデスク業務で使われるシステムについて
- ホスピタリティ業界でのマネジメント全般
- カナダのホスピタリティのあり方
- AH&LA(American Hotel & Lodging Association)資格取得コース
- カスタマーサービスについて
- 食の安全と衛生管理など
- ホテルなどのハウスキーピングのやり方
- ホテルや観光業におけるコミュニケーション
- 観光業に必要な世界地理や各地域の文化などの理解
- 就職活動サポート(英語での履歴書の書き方、面接対策)など
カスタマーサービスや観光業まで幅広いジャンルでホスピタリティについて学ぶことができます。学校によって独自のプログラムを行っていたり、特化している分野に差があったりするので、自分の目的に合わせた学校選びをしてください。
受講に必要な英語力
ホスピタリティ系のコースでは留学生向けのプログラムを多く取り扱っています。そのため、入学条件の英語力は他よりも少し低く設定されており、挑戦しやすいコースであるのが特徴です。
一般的にIELTS4.5~6.0、TOEFL IBT35~60程度のスコアがあれば、カナダのキャリアカレッジに入学できます。しかし、ホスピタリティを英語で学ぶことになるので、授業を理解できる英語力は必要です。
また、ホスピタリティ業の現場では英語での接客ができることが最低条件です。英語に不安のある人は、まず語学学校で基礎力を高めることもできます。
コース期間
選択するコースによって期間は異なります。Co-opプログラム付きのコースの場合は最低でも就学の期間が6か月からとなっています。Co-opプログラムとは、在学期間中にインターンシップ(就労体験)ができるプログラムです。公立の指定カレッジでCo-opプログラムを履修することを前提に学生ビザと就労ビザをセットで取得します。
Co-opプログラムを利用して実際にホスピタリティの現場で働きたいと考えている人は、就学期間と合わせると最低でも一年間のコースになるでしょう。
バンクーバーがあるBC州の場合、Co-opで就労する場合は有給でなければならないと法律で定められているため、しっかりと収入を得ることが可能です。学んだことを実践できて、しかもお金を稼げるのはまさに一石二鳥ですね。ちなみに、それぞれの州やインターン先によって有給・無給のものがあるので、詳細はお問い合わせください。
費用
「ホスピタリティ・ツーリズム」「ホスピタリティ・マネジメント」といったように、学校ごとにホスピタリティ業界に通用するさまざまなコースを提供しています。コースの内容や期間によって費用は異なりますが、一般的に受講期間が長いものは費用も高くなります。
一年間のコースの場合、約15,000~25,000カナダドル(約120万~200万円)程度の授業料がかかります。しかし、公立カレッジの場合、学校のある期間は週20時間の就労が認められており、学校が長期休みの期間はフルタイムで働くことが可能です。
さらに、Co-opプログラムを履修している人の場合は有給インターンで収入を得ることもできます。確かに授業料は安くはありませんが、多少なりとも収入を補うことは可能です。
必要なビザ
カレッジや専門学校に通うためには就学が認められているビザを取得する必要があります。ホスピタリティコースの場合、3ケ月程度の短期間のものから二年間のディプロマコースのような長期間に及ぶものまでさまざまなスタイルがあります。それぞれの状況別で必要なビザを紹介します。
①6か月以内のコースの場合
カナダは6か月以内の渡航の場合ビザが免除されるため、学生ビザを取得せずに就学することが可能です。ただし、この場合オンラインでeTA(Electronic Travel Authorizations)という電子渡航認証を取得する必要があります。申請費は7カナダドル(約550円)です。
②6か月以内のコースでワーキングホリデービザを利用する場合
6か月以内のコースであれば、ワーキングホリデービザでも就学が可能です。ワーキングホリデービザであればビザ期限までカナダでの就労も認められています。ホスピタリティコースを受講した後、学んだことを活かしてホテルや観光地など実際のホスピタリティの現場で働くこともできます。
③6か月以上のコースの場合
基本的に6か月以上のコースは、学生ビザの申請が必要です。また、政府認定のコミュニティカレッジで6か月を超えるコースでは、Co-opプログラムがある場合が多いです。その場合、まず学生ビザを取得し、Co-opプログラムを履修することを証明して就労ビザも取得することができます。
ホスピタリティを学ぶのにおすすめの学校10選
CICCC
CICCC(コーナーストーン)は、バンクーバーにある老舗の専門学校です。
12モジュールがあり、各項目でサービススキルやマネジメント、リーダーシップ等について学んでいきます。就学期間は、8ヶ月・12ヶ月・24ヶ月の中から選択でき、休学留学の大学生の方やキャリアアップ・現地就学を目指す社会人の方等、ニーズに合わせてプランを選べることも魅力です。
また他校に比べて申込時の英語力がそこまで高くなく、TOEIC査定も可能なことが特徴です。
ILAC International College(ILACインターナショナルカレッジ) バンクーバー/トロント
ILAC International College(ILACインターナショナルカレッジ)は、カナダで最大規模の人気語学学校ILACが設立したキャリアカレッジです。バンクーバーとトロントという留学生からの人気も高い都市にキャンパスを構えています。
カレッジへの入学条件の英語力に満たない場合は、ILACで英語力を身に付けてレベルが上がれば、無試験でカレッジに入学することができます。この学校では、カナダのホスピタリティ業界で即戦力として活躍するために、カスタマーサービスにフォーカスして実践的なスキルを学べます。
VanWest
VanWestはバンクーバーとケロウナにキャンパスを持つ、中規模の学校です。専門ビジネスプログラムは、バンクーバーキャンパスで開講されていますが、インターンシップの際にケロウナの企業にて行うことも可能です。
申込時の英語条件も高めに設定をされているので、生徒の英語力はかなり高いです。ホテル・ツーリズム業界で活躍する人材育成を目指した、質の良いカリキュラムを提供しています。就職率は100%保証とされているのも特徴です。
Tamwood
バンクーバー・トロント・ウィスラーにキャンパスを持つ、中・小希望の学校です。1年で完結するDiplomaのコースで、休学留学の大学生からの大変人気です。中でもウィスラーキャンパスはカナダ国内でも屈指のリゾート地にあるため、アウトドアを楽しみながら実習を行うこともできます。
また世界で有名な大手ホテルチェーンも立ち並ぶので、最高の環境で最高のサービススキルを習得することが可能です。
inlingua Victoria
ビクトリアで唯一、専門プログラムのある学校です。
カリキュラムは26週ですが希望者はcoopをつけることができ、トータル52週の就学となります。ホスピタリティ全般について学びながら、ホテルのフロントデスクやレストランでも通用する接客マナーを習得します。またセールスやマネジメント、アカウンティング等管理職に必要なスキルについても学ぶことができます。
GreystoneCollege
バンクーバー・トロントにて開講があります。ILSCという語学学校の姉妹校で、専門プログラムを提供しています。コースは、「Certificate in Hospitality Skills(26週)」「Customer Service(26/48週)」「Hospitality Management(48/96週)」「Hospitality Operations(26/48週)」「Hospitality Sales & Marketing(26/48週)」からカリキュラム・就学期間を選択します。
他校と比較し、希望に合わせて選べることが特徴です。夜間の開講をしているコースもあるので、日中に勤務をしたい人にはお勧めです。
TSoM
トロントにある私立の専門学校です。私立の専門学校にはめずらしく、AdvancedDiplomaの資格取得をするコースが開講されています。オフキャンパス期間も多く設けられているので、現地でしっかり稼ぎたい方にはお勧めです(オフキャンパス期間はフルタイムで就労可能)。また国籍や年齢層が幅広く、色んな留学生がいる環境で学ぶことができます。
Seneca College
トロントにある公立の専門学校です。ホスピタリティのコースは、「Foundations(certificate)」と「Hotel&Restaurant Services Management(Diploma)」の2つのコース開講があります。主にホテルフロント業務やフード&ビバレッジの提供に加え人事やマーケティング、ウェディングプラン等ホテルサービスに欠かせない知識やスキルを学びます。
公立校になりますので、卒業後PGWPの申請が可能です。
Canadian College(カナディアンカレッジ) バンクーバー
Canadian College(カナディアンカレッジ)の特徴は姉妹校の語学学校CCEL(Canadian College of English Language)が同じビル内にあり、ホスピタリティに携わるのに必要不可欠な英語力の習得から行うことができます。
また、建物内にはカフェレストランも備わっており、ホスピタリティを学ぶ学生が実習を兼ねて働けるのもこの学校ならではの魅力です。ホスピタリティのコースが充実しており、最短で3ケ月のコースからCo-opプログラム付きの2年のコースまで提供されています。
また、就職に役立つAH&LA(American Hotel & Lodging Association)の資格を取得できるコースがあるのも特徴です。
Canadian Tourism College(CTC) バンクーバー/サーレー
Canadian Tourism College(CTC)は、「トラベル&ツーリズム」と「ホスピタリティ&ツーリズム」とホスピタリティと観光業の両方を学べるプログラムが充実しています。まだ将来を明確に絞り込めてはいないけれど、ホスピタリティに関連する仕事をしたいと考えている場合におすすめです。
さまざまな業界にコネクションを持っており、就職サポートが整っていることも心強いです。Co-opプログラムもあり、学んだ知識を活かせる場所があることもポイントです。この学校でも、AH&LA(American Hotel & Lodging Association)の取得が可能です。
卒業後の進路
卒業後は主にサービス業やイベント業界といったホスピタリティ関連の仕事に就きます。Co-opプログラムを利用した場合、運が良ければそのまま現地企業に採用されるチャンスもあり、選択肢の幅は広がります。観光大国でもあるカナダでのホスピタリティ関連の求人は多く、学んだ知識を活かして現地採用を目指すのもひとつの方法です。
主な就職先
- 観光ガイド
- 飲食店のスーパーバイザー(時間帯責任者)
- イベント運営会社でイベントの企画や運営
- ホテルのフロントデスクやコンシェルジュなどサービス業務
- マーケティングや営業など
カナダで学んだ世界レベルのホスピタリティを帰国後の日本で発揮して活躍するという方法もあります。特に、高い英語力とさまざまな国の人に対応できる柔軟さを兼ね備えた人材は希少価値が高いです。ぜひ、ホスピタリティ留学で得た力を日本の企業に堂々とアピールしてみてください。
こんな人におすすめ!
- すでに日本でサービス業に携わっており、さらにキャリアアップして活躍したいと考えている人
- 海外のホスピタリティに興味があり、現場で仕事を体験したい人
- 観光で日本に来た海外のお客様をスムーズにもてなしたい人
- カナダの観光地やホテルで英語を使ったサービスをスムーズにできるようになりたい人
- 世界中のいろいろな人とコミュニケーションを楽しみたい人
まとめ
日本は「おもてなしの心」に関しては世界一のサービスとクオリティを持つ国です。その日本のホスピタリティとカナダで学ぶ世界レベルのホスピタリティを合わせれば、まさに最強のおもてなしができるのではないでしょうか。
これからの時代、様々な仕事がAIやロボットに取って変わられると言われていますが、やはり人間はロボットにはできない温かみのあるサービスやおもてなしを求めています。
そういった人のニーズに幅広く答えられるように、カナダでホスピタリティ留学に挑戦してみてはいかがでしょうか。