「将来は英語を教えられる人になりたい」と考えている人におすすめなのがTESOLの取得です。カナダのTESOL留学では「英語を学ぶ」だけではなく、さらに一歩進んで「英語を教えられる技術を学ぶ」ことができます。
「そもそもTESOLって何?」「英語力はどの程度必要なの?」といった疑問もありますよね。そこで、今回はTESOLについて、またカナダでTESOL留学をするメリットやおすすめの学校などについて紹介していきます。
目次
TESOLとは?
TESOLはTeaching English to Speakers of Other Languagesの略称で「英語が母国語ではない人に英語を教えるための技術を学ぶ分野」です。
TESOLコースを受講することによって相手のレベルに応じた英語の教え方を知ることができます。よくTOEICやIELTSのような資格と混同してしまいがちですが、TESOLは正確には資格とは異なります。
TESOLコースを卒業し学位や証明書を取得するものです。TESOLは受講する教育機関によって取得できる種類が異なり、大きく分けて4つのジャンルがあります。
①Certificate(サティフィケート):証明書
Certificate(サティフィケート)は最も一般的なTESOLの証明書で、語学学校などで短期間の受講することができるものです。カナダにはTESOLのCertificateが取得できる学校が多くあり、留学生にとって取得しやすい環境です。
②Diploma(ディプロマ):卒業証明書
Diploma(ディプロマ)はサティフィケートよりも高度な技術を身に付けることができます。受講期間もサティフィケートのコースより長くなります。ディプロマは大学でも取得できます。
③Degree(ディグリー):学士
大学で取得可能な学位です。受講期間は州や大学によって異なりますが、3~4年となります。
④Master(マスター):修士
Degree取得後、大学院で取得できる学位です。通常2年間の受講期間となります。
留学生の多くが取得するのはサティフィケートかディプロマです。Degree(ディグリー)やMaster(マスター)はカナダの教育大学や大学院などで取得できる学位で、卒業後はカナダの公立学校で英語を教えることができます。
ここまで来ると、費用や期間も相応覚悟する必要があり多くの留学生にとってはハードルが高いものになります。
TESOLは世界中で認知されている英語を教えられる国際資格のひとつです。そのため、日本を含むどこの国でも英語が母国語でない人に対して英語を教えることができます。
英会話スクールやインターナショナルスクールなどによっては、英語講師の採用条件にTESOLの取得が義務づけられているところもあります。
TESOLの認知度と評価の高まり
英語学習の必要性を感じる人が増えている
小学校の英語学習義務化や国際的なビジネス環境の広がりなど、日本でも英語力の必要性を感じる人が増えてきています。英会話スクールに通ったりオンライン英会話を利用したりする人も増え、英語を学ぶということが以前より身近なものになっていますよね。そのため、英語を教えられる人の需要は今後ますます高まっていくでしょう。
そういった状況の中で求められている人材は、ただ文法や単語を教えられる英語教師ではなく、会話力やコミュニケーションといった生きた英語を教えられる人です。TESOLを学んだ人は、まさにこれからの講師に求められる資質である「生きた英語指導」を効果的かつ論理的に行うことができます。
日本でも最近ではTESOLの認知度や評価が高まっており、小中学校教師が短期留学をしてTESOLを学ぶケースも増えてきました。
カナダでTESOLを学ぶメリット
カナダでTESOLを学ぶメリットはたくさんあります。TESOLを学べるコースは日本の大学にもありますが、期間は長く高額の費用がかかります。一方でカナダには最短のコースで4週間といった短期間でしっかり学べるコースが充実しています。
さらに、カナダで生活し、世界中から集まる留学生や現地で暮らすカナダ人とのかかわることで、感覚的な英語力を身に付けることも可能です。訛りのないきれいな発音で人気のカナダ。授業以外の生活もまさに英語漬けの生活は、日本ではできない貴重な体験です。
TESOLを取得し実際に英語を教える時に、カナダで留学した経験を活かすことができるでしょう。
TESOL取得コースのプログラム内容
概要
TESOLコースでは、英語が母国語でない人に英語を教えるために必要なスキルを学びます。模擬授業や指導者としてのプレゼンテーションを行うなど実践形式も取り入れながら英語教授法を取得していきます。
最も基本となる自分自身の英語力の向上と、指導をする時に必要な心構えやスキルを身に付けていきます。また、TESOLコースを英語教育能力テストであるTKT(Teaching Knowledge Test)の受験対策として受講することもできます。
TKT(Teaching Knowledge Test)とは
TKT(Teaching Knowledge Test)はイギリスのケンブリッジ大学が設立した英語が母国語ではない人に英語を教えるスキルを評価するための英語教育能力テストです。ベーシックな英語教授法の国際資格として世界中で認定されています。
授業内容
まず、英語教育に関するさまざまな分野を学びます。慣用表現や文法、発音や英会話の練習など多岐に渡ります。実践形式の授業だけではなく、言語学や異文化コミュニケーション論、英語評価方法といった知識もしっかり身に付けていきます。
ネイティブではない人に対して効果的に英語を教えるために、コミュニケーション論やどう英語力を評価するのか、それぞれの英語力に合わせた教材の選び方なども学びます。
主な学習内容
- 教育理論や教育スタイルの理解と実践
- 第二言語習得理論
- スピーキング、ライティング、リーディング、リスニングの4技能の教授法
- 語彙や文法、発音などの教授法
- クラスの運営方法やタイムマネジメント
- カリキュラムや授業プランの作成し、実践とその効果
- 効果的な学習教材の作成と選択の仕方や活用方法
- 英語評価法や適切なフィードバックの方法など
受講に必要な英語力
英語を教えられる英語講師を目指すためには、高い英語力が求められるのはなんとなくイメージできますよね。一般的に言われている英語力は、IELTS7.0、TOEFL iBT100以上というかなり高いスコアです。
しかし、いきなり最初からそこまで高い英語力はないという人に向けて、教育機関や選択するコースによってはIELTS5.5、TOEFL iIBT 61からでも入学できるところもあります。
また、まず語学学校で入学条件のスコアまで英語力を高めてからTESOLコースを受講するという方法もあります。
コース期間
TESOLコースは最短で4週間から16か月といった長期間のものまでさまざまあります。短期間で取得できるコースは、スキルアップを目指す社会人や大学生などが夏や冬など長期休みを利用して手軽に受講できるため人気が高いです。
費用
TESOLの取得にかかる費用は受講期間によって異なります。短期間で集中して受講できると人気の4週間コースの場合、約15~25万円程度のところが多いです。
ディプロマが取得できたり、カナダの小学校や中学校などでボランティアや実習ができたりする場合、受講期間も長くなるので授業料は高くなる傾向にあります。
VIC Career Campus(VICキャリアキャンパス)の場合
TESOL 一般コースを4週間受講した場合の概算費用は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
授業料 | 1,590カナダドル |
教材費 | 170カナダドル |
登録費 | 150カナダドル |
合計 | 1,910カナダドル |
必要なビザ
TESOLコースを受講する際に必要なビザは、受講するコースの期間によって異なります。6か月以内のコースであれば、ビザの取得は免除されているので、特別にビザを申請する必要はありません。
また、ワーキングホリデービザを取得した人も6か月以内の就学が認められているので、短期間のTESOLコースであれば受講できます。学生ビザが必要なのは、6か月を超えるコースを受講する場合です。
カナダでTESOLを学ぶのにおすすめの学校3選
VIC Career Campus(VICキャリアキャンパス)
VIC Career Campus(VICキャリアキャンパス)は同じ建物内に語学学校VICを併設する専門学校です。この学校では一般コースと対象年齢別コース(Children/Middle School/Adults)のTESOLサティフィケートプログラムが提供されています。
一般コースでは、TESOLの核となる知識やスキルの習得を行います。英語を教える対象年齢別コースでは、それぞれの年代に合わせた授業展開の仕方や、クラスマネジメントを学びます。グループワークや実際にアクティビティを行いながら英語教授法の理解を深めることが可能です。
教育実習では、指導講師の元で語学学校VICの実際のクラスで授業を行い、講師からのフィードバックを受けることができます。
SGIC(セント・ジョージ・インターナショナル・カレッジ)
SGIC(セント・ジョージ・インターナショナル・カレッジ)にはTYCP(Teaching English to Young Children Program)という子どもに英語を教える方法を学ぶプログラムと、中学生以上を指導対象にした英語教授法を学ぶi-TESOLコースがあります。
TYCPでは、実際に歌やゲームなどを楽しみながら学ぶことで、子どもの英語教育にすぐに活かせるスキルを習得することが可能です。また、希望者は現地の保育園や小学校でのボランティアに参加し、カナダの教育現場を見ることもできます。
i-TESOLでは、クラスを運営するための教え方と文法や発音といった文法と基礎知識を中心に学ぶことができます。TYCPとi-TESOLを合わせて受講することが可能で、より深い知識を得ることができます。
卒業後の進路
- 英語系専門学校や英会話スクールの英語講師
- 外資系や貿易系の企業に就職
- 小中学校の英語教員
- 学んでいた語学学校にスカウトされてそのまま現地就職
ただし、TESOLのみで日本の小学校や中学校の公立教育機関で教えることはできません。必ず教員免許の取得が必要です。
こんな人におすすめ!
- 英語が得意で英語力だけでなく、将来に役立つ資格を取得したい人
- 日本ですでに英語を教えているけれど、さらにスキルアップしたい人
- インターナショナル幼稚園やスクールで教えているけれど、より充実した英語指導ができるようになりたい人
- 英会話スクールや小学校などで子どもに英語を教えられるようになりたい人
- 教員免許取得予定の学生
- 英語を学ぶ方法を論理的に理解したい人
TESOLの他に英語を教えられる資格
TESOLの他にも英語を母語としない人に英語を教えられる資格があります。代表的なものが、J-SHINE、TECSOLといった児童英会話講師の資格です。
資格 | 内容 |
---|---|
TESOL | 年齢にかかわらず、子どもから大人まで英語を教えられる資格 |
J-SHINE | 日本の小学校で英語を教えられる認定資格 |
TECSOL | 世界中の英語が母語ではない子どもを対象に英語を教えられる資格 |
J-SHINE(ジェイ・シャイン)
J-SHINE(ジェイ・シャイン)は日本の小学校での英語教育の普及や発展を支援するために民間NPO法人「小学校英語指導者認定協議会」によって認定される英語教育指導者としての資格です。つまり、日本でのみ有効な資格で、世界的に認識されている資格ではありません。
このJ-SHINE認定の「小学校英語指導者資格」を取得すると、日本の公立小学校で民間英語指導者として働くことができます。また、民間の英会話教室やインターナショナルスクールなどで英語講師として就職する際に有利になります。
教えられる対象は4~12歳までの児童で有効期間は4年と設定されています。日本の小学校で英語を教えるために必要な資格なので、小学校で英語を教えたい人におすすめの資格です。
カナダですと、以下のIH VancouverにてJ-shineコースが開講されています。
TECSOL(テクソル)
TECSOL(Teaching English to Child Speakers of Other Languages)は、英語を母国語としない4~12歳の子どもを対象に英語を教えるための資格です。TESOLの中に“C=Child”が入っていることでも分かる通り、子どもに英語を教えるための学問です。
TECSOLコースでは、子どもの心理や言語発達の理解、児童英語教育におけるクラスマネジメント、アクティビティの研究といった子どもに英語を教えるために必要な知識とスキルを学びます。
J-SHINEと異なり、TECSOLは世界的に通用する国際的な資格なので、日本に限らず英語が母国語ではない世界中の子どもたちを対象に英語を教えることができます。
まとめ
英語を学ぶだけではなく、英語を教えられるようになるTESOLの取得は、帰国後の日本での活躍の幅を広げてくれます。せっかくカナダに留学するからには、留学の経験だけではなく特別な資格やスキルを手にしたいですよね。
今後日本で英語を学びたいという人は増えていきます。そういった需要に十分に答えられるTESOLの取得をぜひカナダで目指してみてはいかがでしょうか。
TESOLを学べる専門学校一覧
SGICバンクーバー校(セント・ジョージ・インターナショナル・カレッジ)
1994年度設立以来、常に質の高いプログラムを提供し続けている学校です。1クラスの平均人数は8から12名で最大でも16名までです。レベルは7つに分かれ、1つ上のレベルに行くためには8週間の受講が必要です。
VIC(バンクーバー インターナショナル カレッジ)
2000年に設立以来年人気校へと成長を遂げ、現在は入学待ち必須の学校となりました。評判の良いスピーキングプログラムに始まり、進学英語、試験対策準備コース、ビジネス英語、発音矯正等コースを取り揃えています。
Greystone College(バンクーバー)
Greystone Collegeバンクーバー校はダウンタウンに位置していて、最寄駅のグランビル駅のそばと大変便利な立地です。就職に強いプログラムが揃っているので、将来的に海外で働きたいと考えている人におすすめです。
SGICトロント校(セント・ジョージ・インターナショナル・カレッジ)
ESLはもとより、ビジネス・インターンシップ、幼児教育、英語教授法、スピーキング強化、進学コース、IELTS対策等様々なコースを開講しており、人に差をつけ、一歩上の留学をすることが出来ます。
Greystone College(トロント)
グレイストーンカレッジのビジネスプログラムはカナダで認定されているビジネスサティフィケート(資格)を取得することが可能。英語を勉強しながら、履歴書にすぐに記載することが出来る資格を取ることが可能です。